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チェンマイで調べてみた|洪水経験者がおすすめの持っておくべきアイテム

2024年8月−10月にかけて、北部タイのメーホンソン県・チェンライ県やチェンマイ県など広範囲に洪水被害が広がりました。

特にチェンマイでは100年ぶりとも言われる未曾有の被害で、洪水地域が広範囲に拡大しました。

そこで洪水時に役立つ意外なアイテムと、経験者の声を元に集めてみました。

一般的なアイテム

まずは以下の5つを紹介します。これらは一般的に家庭にあるものがほとんどで、非常時のためにも常に備えておくと便利です。


1. ゴミ袋


理由
: 多用途で防水性が高く、簡単に手に入るため。
使い方: ゴミ袋は防水カバーとして使えるほか、衣類や貴重品を湿気や水から守ることができます。靴や服の代わりに履いたり、座る場所がぬれている場合の防水シートとしても活用できます。


2. ラップ


理由
: 食品を包むだけでなく、防水シートとしても使えるから
使い方: スマホや重要な書類をラップで包むことで、水から保護できます。また、ラップを傷口に巻いて応急処置の防水バンデージとしても使えます。


3. ホイッスル

理由: 助けを呼ぶための音が遠くまで届きやすく、目立ちやすい。
使い方: 洪水時に周囲から孤立した場合、ホイッスルを鳴らして位置を知らせ、助けを求めることができます。大声を出すよりも体力の消耗を防ぎやすいです。


4. ビニールシート(ブルーシート)


理由
: 水を防ぐための一時的な遮断や防護に使えるため。
使い方: 洪水が始まる前に、窓や扉の下部にビニールシートを貼ることで、家への水の侵入を防ぐことができます。また、避難時にはシェルターや防寒具としても活用できます。


5. 浮輪や浮き具


理由: 緊急時に水中での浮力を提供でき、体力の消耗を防ぐため。
使い方: 洪水が発生した際、浮輪や浮き具があれば水流に流されにくくなり、安全を確保できます。家族やペットを守るために有効です。
これらのアイテムは手軽に手に入りやすいですが、事前に準備しておくことで、洪水時に非常に役立ちます。

2024年チェンマイ洪水経験者の選んだアイテム

今回のチェンマイの洪水では、広範囲に停電や断水も発生しました。普段何気なく使っているものですが、無くなるとこんなに大変なのかと改めて驚かされます。その経験をもとにアイテムを選んでいただきました。

1. カセットコンロとチャッカマン的な発火具

理由: 電気が止まると暗い以上に、電気ポットと電子レンジ使えなくなるのが影響が大きいので。多くのコンドーでは都市ガスなども来てないので、普段使わなくてもカセットコンロは用意しておくと良いでしょう。
使い方: 後述のお湯や食料品に熱を加えるために、カセットコンロを使います。いわゆるチャッカマン的なものはタイにもあります。

2. マッチとろうそく


理由
:明かりは数日ならスマホの懐中電灯で持ちますが、停電が続くと無理です。
使い方: マッチを実際に擦ったことがある人は意外と少ないかもしれません。また、ろうそくをどこに立てるかも迷いますよね。手頃な小皿など普段から用意しておくのも良いでしょう。タイ人の家庭にはだいたいろうそくを置く陶器製の小皿を置いてあります。日頃仏教行事でよく使うものなので、私たち日本人は学ぶところがたくさんありますね!

3. 1週間分の食料と飲料水


理由
: 日持ちのする食料といえばカップ麺や冷凍食品などですが、お湯やレンジを使うものは電気が止まると作れません。そのためにも1.カセットコンロと発火具は必須です。飲料水は料理にも普段の飲料にも必須なのは言うまでもありません。
使い方: 浄水器を使っているお宅でも、ある程度蓄えておくと良いでしょう。

4. それ以外の汲み置きの水(トイレを流す用)


理由
: 断水で何よりトイレの水が流せないのが精神的にかなりきついとのこと。
使い方: あらかじめバケツやタライに入れておき、ひしゃくなどで必要なだけ流す。

5. 電気がなくても暇がつぶせるもの


理由
: いかに普段暇な時間をスマホに依存しているかがわかります。オフラインかつ電気に依存しないものが必要です。
使い方: 京極夏彦さんの本(いわゆる京極本)が一冊あるだけでも違うでしょう。京極本の特徴として、非常に分厚いことが挙げられます。そのため、「サイコロ本」や「レンガ本」とも呼ばれることがあります。相当な暇つぶしになります。

2011年チョンブリ県で洪水経験者の選んだアイテム

1. 水を排出するポンプ

家の敷地内に溜まった水を排出するのに役に立ちます。

給水ポンプは、小さなものからいろいろあります。

2. 水で膨らむ土のう

急に土嚢を用意するのは大変。日本では「水ピタ」と言われる商品があります。
タイでは中国語で「吸水膨張剤 」、タイ語で「กระสอบทราย ไร้ทราย」。各種通販サイトで検索できます。

3. バケツ、たらい

チェンマイでの洪水経験者の方もおっしゃっていた通り、溜め水をしておくにはそもそも器が必要です。
ホームセンター等で買い置きしておきましょう。

2011年バンコクで洪水経験者の選んだアイテム

蚊除けスプレー


理由: 洪水の後には蚊も大量発生する可能性があるため、常備しておきましょう。

消毒薬(Dettol製など)


使い方: 水で希釈してスプレーボトルに入れて家に入る前に靴裏にシュッ、掃除にシュッ、あとお風呂にも入れて使ってました。
理由: 洪水の後には通称「ネズミの小便病」とも呼ばれる感染症の危険性が高まります。その予防に消毒液は有効です。

洪水が引き起こす「ネズミの小便病」とは!?

洪水が引いた後ほど、注意しなければならないことがあります。それが恐ろしい感染症です。

最後にチェンマイのLANNA病院から共有された文書をご覧ください。

皆様、この記事をお読みいただき、普段から洪水対策を心がけてください。また、洪水が起きた時には無闇にその地域に近寄らず、静かに情勢を見極めましょう。

●雨などで、水たまりができたら、「ネズミの小便病」に注意してください!!

洪水を引き起こす大雨の時期、多くの細菌が満ちた洪水の中を歩くことは誰でも考えら れるでしょう。これによって結膜炎、水虫、コレラ、下痢といった病気が起こります。 さらに、毎年発生していて、人々を死にもたらすもう一つの深刻な病気があります。 それは「ネズミの小便病」です。そのため、水の中を歩いている人、浸水した地域に 住んでいる人は「ネズミの小便病」という病気を知っておきましょう。なぜなら、 この病気は浸水した地域で蔓延し、死をもたらすほど危険な病気ですから。

●ネズミの小便病を知っておきましょう!!

ネズミの小便病」、あるいは「Leptospirosis」 は動物から人間に移る感染症です。この病気の原因 は「Leptospira Interrogans」という細菌で、感染した動物の尿から排泄された後も数ヶ月間生存します。これらの動物、特にネズミは、病気を発症せずに、この細菌を腎臓に持ち続け、病気の貯蔵庫となります。これが「ネズミの小便病」という言葉の由来となっています。 ネズミ以外にも、この細菌は犬、牛、水牛にも見られます。感染した動物は症状を起こさないかもしれませんが、数週間または一生を通じて細菌を放出する可能性があります。タイでは、 特に洪水や浸水が起きる時期にこの病気が広まり、これはタイの主要な職業である農業や家畜飼育に従事している人々に影響を及ぼします。さらに、水道局の職員や屠畜場で働く人々、獣医などにも及ぶことがあります。

●ネズミの小便病はどのように感染するのですか?

浸水した地域、湿った土壌、野菜などの環境が動物の尿に汚染され、人がそれに触れると、細菌は傷口や擦り傷や水中で長時間浸され腐敗した皮膚を通して浸透します。そして、汚染された食物や水の摂取、または汚染された環境で泳ぐことによって、口、目、鼻の粘膜を 通して浸透することもあります。したがって、病気の発生は通常、洪水や自然災害による水問題がより多く発生する雨期の終わりから初冬にかけてがもっとも一般的であり、細菌に汚染された環境に遭遇する可能性が高まります。

●ネズミの小便病の可能性がある症状

細菌が体内に入ると、潜伏期間が3~30日あり、通常は5~14日で症状が現れます。無症状、軽度または重度までさまざまで、致死的なこともあります。初期の兆候には高熱や頭痛があったり、 通常の風邪のような症状だったり、または、鼻水、咳、喉の痛みがないこともあります。 しかし、洪水の水の中をよく歩いたことがあったり、ネズミの小便病に関連する症状がある場合は、緊急の診察が必要です。

アヌモン・ナンティヤー先生
ランナー病院の内科医
ランナー総合病院 LANNA HOSPITAL
www.lanna-hospital.com
052-134-777 / 081-595-0055 (野澤)

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